2020年02月26日
地方議員のための リーダーシップセミナーⅠ 「消費者行政と地方公共団体の役割」 講師:消費者庁長官
地方議員のためのリーダーシップセミナー研修報告
1月に消費者庁長官の研修を受けていました。研修開催のメールをいただき、会派にお誘いをかけ3人で参加、私が研修報告をまとめていましたが、アップ遅れてしまいました。今回この研修を題材に質問いたします。十数名の研修の一番前に座り、富士市をしっかりアピールしてきました
「消費者行政と地方公共団体の役割」
講師:消費者庁長官 伊藤明子氏
令和2年1月21日10:30~12:00

〇消費者庁とは、
福田内閣時に提案され、開庁10年目を迎える。4人の審議官は、①農水省より食品ロス ②公正取引委員会より訪問販売等 ③経済産業省より契約等④内閣府より民事 から来ていて、消費者庁を構成している。
クイズより始まり、①契約は口約束で成立する。②未成年者の契約は取り消しができる。2022年4月より民法上の成年年齢が18歳になることから18歳、19歳は取り消しができなくなる。③ネットショップでのクーリングオフはできない。ネットショップが独自に出している返品ルールを注文前に確認することが必要である。
日本経済(GDP2018年の合計:548.9兆円)の過半が家計消費(297.1兆円)である。そのうちの消費者の被害・トラブル額は、年間約5.4兆円(推計)となり、GDP合計の約1%に相当する。
今までは、配慮を要する消費者が、消費者政策の主なターゲットだったが、高齢化の進展、成年年齢引き下げ、外国人の増加により、配慮の必要な消費者が増える傾向にある。
また、消費生活がデジタル化することにより、悪質事業者が多様化・複雑化している。デジタル化への対応、デジタルパフォーマーの構築が急がれる。
消費者行政は、地方行政そのものである。地方での取り組みの強化を図る。
〇消費者・生活者の弱体化・多様化
・絆を失う「高齢者」と、基盤を築けない「若者」に、今増えているのがとまどう「外国人」であり、これらの方々が配慮の必要な消費者となる。
労働者の減少が叫ばれているが、今のところではあるが、女性と高齢者が働けば、労働力がないということではない。
現在増えている世帯数は、2035年までにすべての都道府県で減少を開始する見通しである。地方圏では、24道県において、すでに世帯数の減少が開始している。
総務省の国勢調査によれば、静岡県は2020年今年より減少が開始すると推計されている。東京都・愛知県・滋賀県は2030年から、最後の沖縄県は2035年から推計されている。
また、単身世帯が、すべての世帯で一番多い世帯となる。
さらに、18歳が成年となると、契約の取り消しが不可能となるため、事前の消費者教育が大変重要となる。子供のころからの消費者教育の取り組みを検討していく。外国人の急増もトラブルの原因となっており、複雑化している。
〇消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)

消費者庁では、地域で高齢者等の「配慮を要する消費者」が消費者トラブルの未然防止、被害の早期解決により、安心して過ごせるよう、地方自治体ごとに消費者安全確保地域協議会の設置をするよう要望している。
しかし、地域協議会は、新規に立ち上げるだけではなく、既存福祉のネットワーク等に、消費生活センターや消費者団体等の関係者を追加することで構築することができるとのことです。
見守り活動の中で発見された消費者被害を消費生活センターにつなげ、消費者庁からは情報提供による見守りリストを作成し共有することができるようになります。
静岡県には消費安全確保地域協議会(見守りネットワーク)設置自治体になっている市町はないとの報告がありました。富士市はすでに行っている旨を長官に報告しました。ネットワークに報告するだけなので、ぜひ登録をしてほしいといわれました。
〇地方の消費者を守る重層的な対策
➢ 地方消費者行政強化交付金による支援に31.5億円
➢ 地方消費者行政人材育成に 0.8億円
➢ 国民生活センターによる支援に 2.3億円
➢ 先進的モデル事業に1.0億円
以上が、令和2年度政府予算に計上しておりいます。
特に、食品ロス、外国人の消費者トラブル解決、認知症等高齢者の消費者トラブル解決等の先進的な事業には、全国15地域程度でモデル事業を実施します。
1事業1000万円程度、公募等により選定します。
富士市には、ぜひ応募してほしいとの要請がありました。
〇食品ロスの削減
➢ 3010運動の推進を行う。乾杯後30分は席を立たずに料理を食べる。そして、お開きの10分前には席に着き、料理を食べきる。
➢ ドギーバッグの活用の推進を図る。食べきれずに残した料理を自己責任で持ち帰りし、家での食材として活用する。生もの以外はOKになるはずである。
➢ 海洋プラスチック問題では、陸上から海に流出したプラスチックのごみ量では、1位中国で年に132万トンから353万トンであり、1位から4位までを東・東南アジアが占める。日本は30位であるとのことだが、日本は実際には、1位から4位までの国々にプラスチックを輸出しているのである。
➢ エシカル消費とは、地域の活性化や雇用なども含む、人や環境に配慮した消費行動であり、社会的課題の解決を考慮した行動を消費者が各自で取り組んでいく消費活動を指す。SDGsの12「つくる責任 つかう責任」に当たる。例えば、障がい者支援につながる製品の購入、フェアトレード商品、寄付付き商品、エコ商品、リサイクル商品、地産地消の商品、被災地の商品などの購入により、持続可能な社会を実現する一助となる。
● デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引
現在消費者庁では、①デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備 等に関する検討会と、②消費者のデジタル化への対応に関する検討会を立ち上げ、消費者契約に関する検討会と連携し、対応を急いでいる。
● 第4期消費者基本計画を、2020年度中に閣議決定する方向で進めている。
ここでは、デジタル化、国際化といった新しい課題に対応していくこと、消費者の自立と事業者の自主的取り組みを加速させていくことなどが盛り込まれる。
● まとめ
富士市での取り組み窓を消費者庁長官に直接伝えることができたのは大変良かったと思う。地域での実際の中間を挟まない生の取り組みを聞けたことは良かったと、講師である消費者庁長官に言われた。富士市は、すでに取り組んでいる事柄で十分な取り組みをしているので、消費安全確保地域協議会に静岡県で初めて手を挙げ、令和2年度モデル事業に応募していく資格があるとのお話であった。先進事例に十分なりえると実感できた講義であった。
1月に消費者庁長官の研修を受けていました。研修開催のメールをいただき、会派にお誘いをかけ3人で参加、私が研修報告をまとめていましたが、アップ遅れてしまいました。今回この研修を題材に質問いたします。十数名の研修の一番前に座り、富士市をしっかりアピールしてきました
「消費者行政と地方公共団体の役割」
講師:消費者庁長官 伊藤明子氏
令和2年1月21日10:30~12:00

〇消費者庁とは、
福田内閣時に提案され、開庁10年目を迎える。4人の審議官は、①農水省より食品ロス ②公正取引委員会より訪問販売等 ③経済産業省より契約等④内閣府より民事 から来ていて、消費者庁を構成している。
クイズより始まり、①契約は口約束で成立する。②未成年者の契約は取り消しができる。2022年4月より民法上の成年年齢が18歳になることから18歳、19歳は取り消しができなくなる。③ネットショップでのクーリングオフはできない。ネットショップが独自に出している返品ルールを注文前に確認することが必要である。
日本経済(GDP2018年の合計:548.9兆円)の過半が家計消費(297.1兆円)である。そのうちの消費者の被害・トラブル額は、年間約5.4兆円(推計)となり、GDP合計の約1%に相当する。
今までは、配慮を要する消費者が、消費者政策の主なターゲットだったが、高齢化の進展、成年年齢引き下げ、外国人の増加により、配慮の必要な消費者が増える傾向にある。
また、消費生活がデジタル化することにより、悪質事業者が多様化・複雑化している。デジタル化への対応、デジタルパフォーマーの構築が急がれる。
消費者行政は、地方行政そのものである。地方での取り組みの強化を図る。
〇消費者・生活者の弱体化・多様化
・絆を失う「高齢者」と、基盤を築けない「若者」に、今増えているのがとまどう「外国人」であり、これらの方々が配慮の必要な消費者となる。
労働者の減少が叫ばれているが、今のところではあるが、女性と高齢者が働けば、労働力がないということではない。
現在増えている世帯数は、2035年までにすべての都道府県で減少を開始する見通しである。地方圏では、24道県において、すでに世帯数の減少が開始している。
総務省の国勢調査によれば、静岡県は2020年今年より減少が開始すると推計されている。東京都・愛知県・滋賀県は2030年から、最後の沖縄県は2035年から推計されている。
また、単身世帯が、すべての世帯で一番多い世帯となる。
さらに、18歳が成年となると、契約の取り消しが不可能となるため、事前の消費者教育が大変重要となる。子供のころからの消費者教育の取り組みを検討していく。外国人の急増もトラブルの原因となっており、複雑化している。
〇消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)

消費者庁では、地域で高齢者等の「配慮を要する消費者」が消費者トラブルの未然防止、被害の早期解決により、安心して過ごせるよう、地方自治体ごとに消費者安全確保地域協議会の設置をするよう要望している。
しかし、地域協議会は、新規に立ち上げるだけではなく、既存福祉のネットワーク等に、消費生活センターや消費者団体等の関係者を追加することで構築することができるとのことです。
見守り活動の中で発見された消費者被害を消費生活センターにつなげ、消費者庁からは情報提供による見守りリストを作成し共有することができるようになります。

静岡県には消費安全確保地域協議会(見守りネットワーク)設置自治体になっている市町はないとの報告がありました。富士市はすでに行っている旨を長官に報告しました。ネットワークに報告するだけなので、ぜひ登録をしてほしいといわれました。

〇地方の消費者を守る重層的な対策
➢ 地方消費者行政強化交付金による支援に31.5億円
➢ 地方消費者行政人材育成に 0.8億円
➢ 国民生活センターによる支援に 2.3億円
➢ 先進的モデル事業に1.0億円
以上が、令和2年度政府予算に計上しておりいます。
特に、食品ロス、外国人の消費者トラブル解決、認知症等高齢者の消費者トラブル解決等の先進的な事業には、全国15地域程度でモデル事業を実施します。
1事業1000万円程度、公募等により選定します。
富士市には、ぜひ応募してほしいとの要請がありました。
〇食品ロスの削減
➢ 3010運動の推進を行う。乾杯後30分は席を立たずに料理を食べる。そして、お開きの10分前には席に着き、料理を食べきる。
➢ ドギーバッグの活用の推進を図る。食べきれずに残した料理を自己責任で持ち帰りし、家での食材として活用する。生もの以外はOKになるはずである。
➢ 海洋プラスチック問題では、陸上から海に流出したプラスチックのごみ量では、1位中国で年に132万トンから353万トンであり、1位から4位までを東・東南アジアが占める。日本は30位であるとのことだが、日本は実際には、1位から4位までの国々にプラスチックを輸出しているのである。
➢ エシカル消費とは、地域の活性化や雇用なども含む、人や環境に配慮した消費行動であり、社会的課題の解決を考慮した行動を消費者が各自で取り組んでいく消費活動を指す。SDGsの12「つくる責任 つかう責任」に当たる。例えば、障がい者支援につながる製品の購入、フェアトレード商品、寄付付き商品、エコ商品、リサイクル商品、地産地消の商品、被災地の商品などの購入により、持続可能な社会を実現する一助となる。
● デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引
現在消費者庁では、①デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備 等に関する検討会と、②消費者のデジタル化への対応に関する検討会を立ち上げ、消費者契約に関する検討会と連携し、対応を急いでいる。
● 第4期消費者基本計画を、2020年度中に閣議決定する方向で進めている。
ここでは、デジタル化、国際化といった新しい課題に対応していくこと、消費者の自立と事業者の自主的取り組みを加速させていくことなどが盛り込まれる。
● まとめ
富士市での取り組み窓を消費者庁長官に直接伝えることができたのは大変良かったと思う。地域での実際の中間を挟まない生の取り組みを聞けたことは良かったと、講師である消費者庁長官に言われた。富士市は、すでに取り組んでいる事柄で十分な取り組みをしているので、消費安全確保地域協議会に静岡県で初めて手を挙げ、令和2年度モデル事業に応募していく資格があるとのお話であった。先進事例に十分なりえると実感できた講義であった。