みらい富士研修レポート
元副市長が教える自治体財政集中研修in東京
作成 小野由美子
講師:自治体経営コンサルタント 川本達志氏
元廿日市市副市長、九州大学法学部卒 広島県庁退職、野村総合研究所、はつかいちワクワク塾代表
第1講義:2016年8月1日月曜日午前10:00~12:30
決算カードフル活用
第2講義:2016年8月1日月曜日午後2:30~4:30
自治体予算を効果的に見る方法
第3講義:2016年8月2日火曜日午前10:00~12:30
財政比較分析であなたの自治体をチェック
第4講義:2016年8月2日火曜日午後2:30~4:30
地方版総合戦略と自治体財政
第1講義で、用語の解説と中身の勉強、第2講義から、平成26年度の各市町の
決算カードを見比べて中身の分析を行いました。
財政力指数:0.99 愛知県のある市よりは低かったが、他市と比べとても高い。
経常収支比率:80.5%(臨時財政対策費を含まないと82.8%、全国平均91,3%)財政構造の弾力性は素晴しい、投資的事業が十分できますねと言われました。人件費、物件費、ラスパイレス指数、定員管理学ぶ。
将来負担比率:60.2%(平成25年度55%)全国平均45.2%とすると高い。早期健全化基準の市町村350%、都道府県400%から見ると、すごく低い。
公債費負担比率:11.6% 公債費が制約している割合、財政構造の弾力性を判断する指標
実質公債費比率:3.8%(平成25年度4.9%)あまりに低いので驚かれ、新環境クリーンセンター建設が控えていることを説明しました。
早期健全化基準:25% 財政再生基準:35%
プライマリーバランス 、臨時財政対策費、地方交付税なども学んだ。
分厚い資料と共に、平成26年度の各市町の財政状況資料集が配布され、それに
基づき講義が展開された。
市町村財政比較分析表(普通会計決算)
類似団体40の内 富士市は?
財 政 力 : 2位
経常収支比率: 1位
人件費・物件費の状況:30位
将来負担比率: 25位
実質公債比率: 10位
定員管理の状況: 31位
ラスパイレス指数: 35位
市町村経常経費分析表(普通会計決算)
類似団体40の内 富士市は?
人 件 費: 18位
扶 助 費: 3位
公 債 費: 9位
物 件 費: 17位
補 助 費: 27位
そ の 他: 11位
公債費以外: 6位
まとめ:財政力指数は、類似の市に比べ、とても高い。富士市は、一時期、お金がない、貧乏になった言う話しがありましたが、平成27年度は再び地方交付税の不交付団体になり、全国的に見れば、すごいゆとりのある市ということになります。財政が無理をせずに、健全であるということなのでしょう。
補助費が悪いのは、公共下水道等の企業会計の負担金で、下水道と今年度は上水道の値上げで、少しはバランスが取れてくることになるそうです。
水道が日本一安かった背景には、一般会計からの繰り入れで何とか成り立たせていたということがあったんですね。
物件費は、富士宮市との共同電算化の本格実施で増加したとの分析です。
人件費、及び、定員管理状況は、類似団体より結構高くなっている。
実質収支比率等に係る経年分析 平成26年度 静岡県富士市
平成25年度は、後年度の大規模投資事業の財源とするため、特定目的基金への積み立てを行った。
金の増などにより黒字となるが、台風18号、19号を原因とした災害復旧事業に対し、財政調整基金からの繰り入れを行ったとの説明である。
連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析
平成26年度 静岡県富士市
すべての年で、実質収支は黒字で健全財政を維持しているのが一目でわかります。
公共下水道や水道料金等、一般財源の負担が大きくなると見直しをかけていくということで、この健全性を維持していると思います。
新環境クリーンセンター建設が始まるとこの数値がどのように動いていくのか、しっかり見ていきたいと思います。
実質公債費比率(分子)の構造 平成26年度 静岡県富士市
平成21年度に合併の影響で増加したとのことだが、その後、順調に現象をしている。
平成27年度は、2.9%とのこと。平成27年度が底なのではないかと言われています。
来年度から、新環境クリーンセンター建設事業でどのように変化していくのか、市になくてはならない施設ではありますが、どうすることが市民にとって良いことか見極めながら、安全安心なすばらしい施設となるよう共にがんばっていきたいと思います。
将来負担比率(分子)の構造 平成26年度 静岡県富士市
教育プラザ、まちづくりセンター、
小中学校の校舎及び体育館の建て替え等々新規借入の増があり、年度比較比率
平成24年実質公債5.8%で将来負担56.8%、
平成25年実質公債4.9%で将来負担55.0%、
平成26年実質公債3.8%で将来負担60.2%、
平成27年実質公債2.9%で将来負担64.2%、
と、実質公債比率はどんどん下がっているのに、将来負担比率は年々高くなっています。
将来負担比率には、市職員の将来にわたる退職金見込み額、さまざまな建造物の15年で返還の地方債現在高、上下水道や病院などの公営企業際繰り入れ見込み額などの総額増えています。しかし、上下水道の値上げで、少し減額になるなど、その年度で行った施策が的確に数字になって現れてきます。
将来負担比率は、350%になると夕張市のような再建としになってしまいますが、富士市は高目といってもまだまだ64%です。
まとめ:今回、富士市の財政を細かく見ることができ、年度にわたって富士市の状態を知ることができました。堅実に、着実に、市政が運営されていることが良くわかりましたが、講師からは、もっと冒険ができるのでは?との問いかけがあるほどでした。
ただ、来年度から本格工事が始まる新環境クリーンセンター事業が、富士市にとってのひとつの冒険(?)になるのかもしれません。富士ハイツ跡地へのホテルの誘致もプロポーザルが始まります。
しっかりと、市民の要望と地域の安全と財政を、虫の目と鳥の目の両方をもってしっかり見ていく所存です。