「秋田県は、なぜ全国一位の学力を保ち続けられるのか?」小野由美子視察報告

小野やすまさ後援会

2014年08月19日 18:43

秋田県は、なぜ全国一位の学力を保ち続けられるのか?
会派「耀」視察研修の報告(今回は会派ではなく個人の報告です。会派では他の議員が報告書をまとめることになっています)                   富士市議会議員 小野由美子

富士市議会会派「耀」では、7月28日29日と秋田市教育委員会と岩手県雫石町町議会と教育委員会を視察しました。
秋田市での目的は、秋田県が、何年間も全国学力調査テストで一位を保ち続けている理由を探ろうというものです。
7月28日午後に秋田市に到着し、午後一時半から約束の4時を過ぎるまで熱心にお話をお伺いしました。現場の先生で、現在、教育委員会にいらっしゃるお二人のベテラン先生お二人にお話をお伺いしました。

特徴的と思われたのが、①小学校5年生と中学校二年生対象に、毎年行っている基礎学力調査の実施とその結果を踏まえたその後の対応 ②家庭学習ノートをすべての学年で、昔からの伝統として活用していること ③TTの授業が徹底して活用されていること。役割分担等々の打ち合わせがしっかりなされていて、考える授業を構成していること ④他にも、先生の研修授業の厳しさや、先生の育成に大変力を入れているということ ⑤家庭との協力体制が取れていて、「早ね早おき朝ごはんに家庭学習」がっ徹底していることがわかりました。 

① 秋田市教育委員会では、平成6年より毎年、「基礎学力調査」を小学校5年生と中学校2年生に実施し、その調査結果を分析して、今後の学習指導に生かすため、「基礎学力調査に基づく授業改善のポイント」という冊子を毎年作成しているとのことです。

「基礎学力調査」の作成に当たっては、「全国学力・学習状況調査」との関連を踏まえた内容となっているとのことです。つまり傾向と対策が一致しているということです。

「全国学力・学習状況調査」テストの一年前に、そのテストの傾向を踏まえたテストを行い、その個々人の結果をもとに、それらに対する対策を練ったうえで、授業が展開されるとなると、私のような塾の教師から見れば、当然、その後のテストの結果は、たいそう良いものになることは容易に想像できます。

 基礎学力調査の結果を総合的にかつ個別的に横断的に分析して、「基礎学力調査に基づく授業改善のポイント」「実践事例集」調査問題と一緒に配布した「指導改善のヒント」が作成され、各講師に配布されているとのことです。その指導のポイントをもとに、各先生方が授業を組み立てていくというお話をお聞きしました。



まず、これが、学力調査テスト全国一位を保っている大きな要因であると見ました。

② 次に、秋田市のみでなく秋田県全域で、伝統的に行っている「家庭学習ノート」が、やはり大きな要因であると思いました。
 子どもたちが、毎日毎日、自分でその日の勉強の内容を決め、その子によって、予習だったり復習だったり、国語だったり、算数だったりするそうです。そして、その日の勉強に自分の一言、家庭からの一言を書き、翌日、先生が、丸付けのほかにい、やはり一言を描いて戻してくださるとのことです。
「毎日その日のうちに、先生から戻されるのですか?」とお聞きしましたら、「先生方が、自分たちも、小学生の時、そのように毎日戻してもらっていたので、それが当たり前になっていて、必ず一言書いてから戻していますよ。それができないなんてことが考えられない。」とのお返事でした。
 富士市でも、書き取り帳や計算ドリルなどの宿題がありますが、宿題ではなく、自分で勉強の内容を決め、自分で問題もノートに写して行う勉強に、大変興味を持ちました。
 私も塾の授業で、間違えたところは、ノートに問題から写させて再テストさせています。問題を写すという作業は、無駄なように見えますが、物事を理解する上で大切なことと思います。
 毎日、必ずコメントを書いて、その日のうちに生徒にノートを返すという先生方に脱帽です。やはり、TTの授業が成り立つだけの学習サポート員がいるからこそできるのだと思います。
















③ TTの授業と先生方の研修に大変な力を入れているとのお話でした。担任以外の先生方も多くいて、皆で子供たちを支えていくというお話でした。TTになられるのは、特別支援サポーターの先生方(臨時教員だとは思いますが)で、秋田市費で120名ほど配置しているそうです。TTの在り方や、活用方法に関し、富士市はもっと研究の余地があるのかと思いました。そして、まずは教員を増やして、TTができるようにしなければいけないというのを感じました。
また、研修制度の多さも強調されていました。しかし、富士市でも研修は多く行われており、他の先生の授業を見て強化するという研修は、富士市でも行われていますどこが違うのか、一生懸命知ろうとしましたが、富士市もこれに関しては実践しているのではないかと思いました。「研修は自分たちの糧である」と先生が言っており、厳しい研修にクレームがつくことはないというお話が印象的でした。
 

④ また、朝ご飯を食べることに大変な力を入れていて、小学生のなんと98.3%、中学生で93.2%が朝ご飯を食べてきているとのことです。この数字はすごいなと思いました。
「秋田わか杉っ子 学びの十か条」の第一番目に、「早ね早おき朝ごはんに家庭学習」がきます。
まずは、生活の基本をしっかりさせようということです。とても大切なことで、家庭との連携がっし刈り取れていなければできないことです。そして、ごはんや寝ることに並んで、家庭学習が位置付けられている、このことが、秋田県の小学生を支えているのだと実感しました。

まとめ
そんな秋田市にも、悩みはあります。大学進学率が高くないことです。日本のコメどころである秋田県は、当然のことながら、農家が大変多いため、大学で子供たちを県外に出すことを良しとしない風潮があるように見受けられるとのお話でした。大学進学率を上げるため、今後高校へのテコ入れを行っていくようなことをお話しされておりました。

富士市への今後の働きかけ
富士市としては、この基礎学力調査のようなことができるのではないか、宿題ではなく、自分で何をするか計画を立てることから始める「家庭学習ノート」などが模索できないか、家庭との連携をしっかりとること、学校と家庭との信頼関係を築くことの大切さを、教師の側も、親の側もしっかりと考え、お互いを批判するのではなく、お互いを育てきずなを深め、ともに子供たちを育てていく視点に立つことができるならば、大変強い良い結果がもたらされるのだと思いました。
まだまだできることがあります。頑張りましょう!!

富士市議会議員 小野由美子

PS.特別支援サポーターのような教員を、緊急雇用の時だけ雇うのではなく、恒常的に配置して、TTの授業が充実していくことも必要だと感じました。

と言いますのは、親御さんや教師の方々から、すでに「家庭学習ノート」に取り組んでいる学級があることが報告されました。拝見するとまだまだ模索状態であること、そして、何と言っても教員が多忙なため、毎日コメントを書くことが今の状態ではとても無理であるようです。やはり、TTができるだけの教員(たとえ臨時でも)の確保がその前提として必要であると思いました。

関連記事